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12/3に開催されたシンポジウムに参加された内定者の吉田さんから渾身のレポートが届きました。

ご本人の承諾のもと転載いたします。

興味のある方、知見をお持ちの方、ご指導のコメントをいただければとのご本人の弁でした。

どうぞ宜しくお願いします。m(_ _)m

シンポジウムの概要はこちらです。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/10/1341016.htm

※当方は温暖化懐疑論の存在についても承知しています。IPCCも100%と断定せずに95%の確率と表現しています。当方では可能性としてのリスクの大きさ、可逆性、予防原則の観点から本問題に取り組んでおります。賛否両論の議論が深まり知見が共有されることを願います。

エコワークスの内定者吉田さんの渾身のレポートです!
(本人公開承諾済み)


テーマ:「地球温暖化はどうなるのか?─IP C C の最新科学的知見と日本からの貢献─」

主催:文部科学省・環境省

日時:1 2 月3 日(火)1 4 : 0 0~1 7 : 0 0はまぎんホールヴィアマ―レ

総合司会:室山哲也NHK 解説委員

基調講演:ThomasStockerスイスベルン大学教授

講演1生き物たちがつくる地球環境–最先端の科学で予測する

:河宮未知生海洋研究所開発機構地球環境変動領域プロジェクトマネージャー

講演2地球温暖化がとまった?–近未来の気候変動予測

:木本昌秀東京大学大気海洋研究所教授・副所長

講演3極端な気象現象–大雨や台風はどうなる

:鬼頭昭雄筑波大学生命環境系主幹研究員、気象庁気象研究所客員研究員

講演4水災害への影響を知る–洪水や干ばつ

:沖大幹東京大学生産研究所教授

パネル討論「IPCC 報告書とCOP19 での議論-課題と展望-」

:江守正多 国立環境研究所・IPCCAR5WG1 第9 章執筆者

:沖大幹  東京大学生産研究所教授

:鬼頭昭雄 筑波大学生命環境系主幹研究員・気象庁気象研究所客員研究員

:西岡秀三 地球環境戦略研究機関

:渡邉正孝 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科

総論 :松野太郎 海洋研究開発機構

<当日議論されたこと>
最新の報告書では、大きなところは第四次報告書の内容とあまり変わっていない。

それは逆に言うと、6年前から気候変動のメカニズムについて多くのことが分かっていたということを示している。

従って、既に科学の知見は飽和状態にあると言える。

もう地球温暖化懐疑論は切り捨てていく段階にあり、IPCC 全体の流れを変えて地球温暖化対策の方を考えていくべきだ。
最新の研究から、CO2 排出量の累積量と温暖化は比例関係にあることが明らかとなり、CO2 排出量の削減目標を定めやすくなった。

また、地球の温度上昇と海面上昇も強い正の相関関係を示す。

未来の海面上昇に大きな影響を与えるとされるグリーンランドの氷は今、危機的状況にある。

氷には溶け始める(不安定化する)トリガー(しきい値)が存在する。

それは1℃〜4℃のどこかにあると考えられ、一度氷が不安定化してしまうと、氷の融解が止まらなくなる。

氷は1000 年かけて融解し、全て溶けてしまうと海面が7m 上昇すると考えられている。

海面水位の上昇は非常にゆっくりと進んでいくためまるで影響が無いかのように錯覚してしまうが、つけはどんどん溜まっていく。

未来の世代のために現代人がトリガーを引かないよう、対策を立てることが急務である。

今後求められる研究は、健康面や経済面への影響についての検証である。

程度の違いはあれ、将来の気温上昇はもはや避けられない。

気候変動リスクを軽減させるためには、緩和策とともに適応策を検討する必要があるのだ。

CO2 排出量の割合は、先進国:発展途上国=1:2と言われている。

それ故に、先進国が先導して、グローバルな知識の共有を基にした世界全体での長期的なグリーン開発のプランニングが必要である。

UNEP ではアジアで連携し、適応策としてどのようなものが有効なのか検討している。

今後、もし日本がグリーン開発を主導していこうとする場合は、実証が必要不可欠となる。

異常気象や災害に強く、経済と環境を両立させたコンパクトシティを20〜30年後までに作っていくべきだ。

また、研究者の積極的な姿勢も求められている。

新事実を発表する頃には既に定説となっているのでは意味が無い。

正式に発表する前から研究者としての勘を恐れずに伝えていくことが大切である。

さらに、政治家がもっとこの問題に関心を持つべきだ。

この会場に一人も政治家がいないことは危機的状況である。

日本のこれからの気候変動リスクに対する適応策について、政府が何かやってくれるだろう、では安全は得られない現状にあり、個々人での対応が求められる。

それはつまり、お金がある人は安全を買うことができ、お金の無い人はリスクが大きいと言える。

緩和策についても、自分が死ぬまでのことだけを考えれば、緩和をしなくてもいいと言ってしまえばそれまでだ。

「次の世代のために」を考えるのか考えないのか、今後深く議論していかなければならない。

次の世代のためを考えようとするなら、他人任せにするのではなく、一人ひとりが自分の立場でできることを地道にやっていくことが大切である。

最後に、懐疑論についての現段階での見解を述べる。

難しいことを伝えても分からない、単純化すると嘘っぽい温暖化問題は理解されにくい。

分かりにくさが温暖化問題の特徴である。

最近は温暖化自体が流行っていないために懐疑論についてあまり聞かなくなったが、未だに疑っている人は存在する。

3.11 の脱原発ムーブメントに乗った政治利用だと思う人もいる。

情報が錯綜する中、どの情報が最もらしいのかは専門家でないと分からないことだ。

懐疑論者と深く議論をすると分かってくれる人もいるが、最初から間違いだ!と思い込んでいる人に対しては、どんなに根気強く説明しても埒が明かない。

仕事や生活に支障が出るために嘘であってほしい、と願っている人もいることを知り、多様な考え方に配慮する姿勢が大切である。
<感想>
来場者は研究者や企業関係者、マスコミ関係の方がほとんどで、緊張しながら話を聞いていた。最新の報告書に関連する研究についての発表が続き、内容についてとても難しく感じた。各分野の研究者を多数呼んでの議論が行われたが、会場内からの質問に対する答えが出ないことがしばしばで、地球温暖化問題のメカニズムに関する不確実性の多さと広さ、そして深さが浮き彫りになった。江守さんがパネル討論の最後に訴えていた、「次の世代のために」を考えるのか、という話が最も印象に残った。私は余命を数えるのではなく、次の世代のためにできることをやっていくことが現代人の生きる目的のひとつであると思う。持続可能な社会のしくみを作ることは、決して不可能なことではない。現に世界はグリーン開発へと動き出している。これからは大量生産・大量消費で経済を動かすのではなく、シェアやMOTTAINAI が主流の新しい豊かさへの消費が経済を動かしていくのだと思う。「パラダイムシフト」という用語を多く耳にしたが、世界がガラリと変わるイノベーションが社会に求められることはもちろん、個人にも求められていくのではないだろうか。その先駆者となれるよう、新しいことに挑戦する気持ちと伝えていく勇気を常にもっていたい。

以上












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