LCCM住宅シンポジウム
ライフサイクルカーボンマイナス住宅シンポジウム

先週もシンポジウムに参加して来ました。

住宅をとりまく環境変化のスピードが本当に速いので必須の学びです。

これまで色々な会に参加して来ましたが今回ほどにワクワクした会はありません。

いよいよ、ライフサイクルカーボンマイナス住宅の認証制度が平成23年度からスタートします!

住宅の建築時、居住時&改修時、解体時のトータルを通じて排出CO2をマイナスにするという新しい概念で、建築時+改修時+解体時の排出CO2を居住時の売電等による創エネで差し引きでマイナスにするという意欲的な取組みです。

世界を見渡すと、最も先進的なイギリスでは、2016年までに全ての新築建築物をゼロエミッションにすることを法律で目指していますが、あくまでも建物の使用時(居住時)に限る話で、建物のライフサイクルを通じてという概念としては知りうる限りでは世界でも類を見ないのではないかと思います。(私が知らないだけであればどなたかご教示頂ければ幸いですm(__)m)

この一年間、同テーマに関して私も色々な情報を収集し学びを深めてきました。

東大清家研究室の研究協力(昨年9月)、ブログはこちら。

IBEC主催の省エネルギーフォーラム(本年2月)、ブログはこちら。

今回は、特筆すべき発表がありました。

建築時の省CO2については色々な取組みが必要となりますが、主要構造材別にみると排出CO2は、木造<鉄骨<RC(コンクリート)となります。住宅全体の構成部材の製造時排出CO2をみると、木造が30t、鉄骨が60t、RCが90tと圧倒的に木造が有利です。

さぁ、ここで国産材木造住宅の時代が来たとぬか喜びをしてはいけません。

木造といっても一般にウッドマイレージという概念で外国から木材を運んで来て使用することは物流における排出CO2が大きいので出来る限り国産材を使おうというのがこれまで常識だったのですが、必ずしもそうはならないという視点が今回の大きな学びです。

少しご説明いたしますと、外国材を運んで来て国内大手の木材会社で木材チップ乾燥による乾燥を行い供給されている木材と、国産材で人工乾燥(熱源は一般に重油)による乾燥を行い供給されている木材を比較すると、運搬による排出CO2を考慮しても、外国材の方が排出CO2が小さいという知見が明らかになったというのです。

要は、木材製造時における排出CO2は、外国から持ってくるか?国産材で近くの山から持ってくるか?よりも、乾燥時に重油を使うか?それとも天然乾燥や木材チップ乾燥等のカーボンフリーな乾燥をするか?による差の方が大きいということなのです。

排出CO2の量を比較してみると次の通りです。

天然乾燥や木質チップ乾燥の国産材<木質チップ乾燥の輸入材(主に大規模工場)<人工乾燥の国産材<人工乾燥の輸入材

これまでの業界常識を覆す発表でした。

さらに、木質チップ乾燥は、CO2的には木の成長時にCO2を吸収しているので燃焼してもカーボンフリーとみなされるのですが、燃焼時のNOX等の他の温暖化ガスが発生することからその点は差し引きが必要という発表もありました。

というわけで、これからLCCM住宅を実現する為に、ベストな乾燥方法として天然乾燥国産木材を社会制度として、ライフサイクルカーボンマイナス住宅の評価項目の一要素として評価する検討がなされると予測されます。

私たち新産グループは10年以上前から天然乾燥にこだわった住まいづくりに取り組んできました。

天然乾燥木材としては、現時点では日本最大の供給体制を構築しています。

当時は業界の常識に反していて随分と批判を浴びたものです。

「木材の素人だから何も分かっていない」
 →当時の林野行政は人工乾燥への補助金が主流で、木材業界では人工乾燥が常識でした。

「在庫が大量に増えているようだが在庫は圧縮するという経営の基本に反している」
 →天然乾燥は数年の在庫を持つことになるので必然的に在庫が増えます。外部の方には乾燥の為に在庫が増えていると言うことが分からずに銀行筋の方からは批判をされました。

しかしながら、香りや艶が良く耐蟻性等の木の元来のメリットを損なわない天然乾燥による住まいづくりで建主さんに喜んでいただきたいと言う一心で取り組んできました。人工乾燥では香りが飛んでしまい、木の良さが損なわれてしまいます。

林業の方は、我が家を作るときは天然乾燥の木を使って、商売は人工乾燥で出荷するという話を聞いたことがあります。私たちは林業のプロの方の家づくりを街の方にも提供しようと考えたのがもともとのきっかけで、当初から地球温暖化対策が目的だったわけではありません。

新産グループの理念の第一項目に、「損得より先に善悪を考えよう」という一節があります。

お客様にとって、善いか悪いかをまず考えて、その次に損得を考えると言う発想法です。

温故知新で先人の知恵を素直に活かし、損得等の採算性という視点ではなく、お客様により良い住まいづくりをという視点で取り組んできたことが、結果的に地球環境にも優しいという大きな付加価値を生みつつあります。

振り返ると、産業革命後の人類社会は大量生産や工業化が美徳とされ、資本の論理を中心に発展をしてきました。

いま住まいづくりは自然素材回帰に代表されるように先人の知恵が見直され価値観の揺り戻しが起きています。

木材乾燥についても、天然乾燥の価値が見直され、未来世代のために、地球温暖化対策の為に一助となることを切に願ってやみません。

LCCM例
LCCM住宅開発研究委員会のリーダー伊香賀先生(慶応大学)の発表

実は、先々週の日本臨床環境医学会のシンポジウムでパネラーだった建築研究所の村上理事長に、シンポジウムの合間にご挨拶して自己紹介をしたところ、「天然乾燥はこれから応援するから頑張りなさい。研究リーダーの伊香賀先生を紹介するから色々と学んで下さい。」と激励をいただき、そのご縁で、伊香賀先生にも色々と直接にご教示をいただくことになりました。

日本臨床環境医学会のシンポジウムのテーマが「居住環境と知的生産性」ということで、医学系学会にも関わらず、今回が偶然に建築系の村上先生や伊香賀先生がお見えでいらっしゃったのです。

もともとはシックハウス対策の学びを深めるために毎年参加していた日本臨床環境医学会が、こんなご縁に発展し、つながるご縁に運命を感じます。

運命を使命感とし、エコワークスの使命をまっとうしたいと念じています。

シンポジウムポスター
日本臨床環境医学会シンポジウムのポスター












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